2015年6月28日日曜日

札幌界隈におけるプランニング系人材の枯渇について

 数ヶ月前から思っていたことが、最近、現実味を帯びてきたなぁと実感していることを書きます。
なお、今回言及する「プランニング系人材」の定義ですが、以下前提で記載しています。
 
<本エントリーで記載する「プランニング系人材」の定義>
「札幌界隈にある、広告代理店・WEBも含めた制作会社・シンクタンクなど、企画・プランニングを生業としている会社」
※クライアントサイドにおける企画職においても似たようなお話を伺っておりますが、やや自信がないので今回は除外します。
※もちろん、広告代理店における「アカウントプランナー」や「クリエイティブ」の方も含まれます。

 

<目次>

札幌界隈におけるプランニング系人材の枯渇が進んでいる

理由:
1.プランニング業務が増加しているため
2.元々、札幌界隈でのプランニング系人材が少ないため
3.人材採用・定着に関する施策が不十分な会社が多いため


<詳細>

1.プランニング業務が増加しているため

最近、同業他社の方も含めお話する機会も増えているのですが、皆さん口を揃えて言うのが「企画系の人材が雇えない」ということ。知り合いの人材系ビジネスをされている方に「誰かいい人いませんか?」って、こっちも欲しいんですよ(笑)。

 細分化すると、これにはいくつかの理由があると思っています。
ひとつは、「地方創生」に伴う自治体関連案件が増えている点。道内の某所で行われたプロポーザル案件の説明会で参加企業が十数社いたといった話、最近頻繁に耳にします(全社エントリーするとは限りませんが)。ひょっとして、当ブログをご覧頂いている方ともすれ違っているかもしれませんね。

 とにかく、比較的規模の大きなものも含め、案件の件数が増えている実感があります。決して余裕のない体制で、民間の企業向け提案で結構な稼働率で動いている中、これらがプラスオンされるわけです。それはそれはしんどい状況になってきますよね。
(しかも受注できるのは1社。他社のプレゼン費は泡と消えて・・・)
 ちなみに、今年は「(地方創生の)地方版総合戦略策定年度」のため、実施フェーズに移る来年度はもっと忙しくなるのでは?と思っています。
 

 また、札幌にもようやく「デジタルの波」が押し寄せはじめたことも影響していると思っています。

参考ページ:
「消極的理由」による「ネット広告」へのシフト in 札幌

 以前、当ブログでも書きましたが、最近、「広告予算が削られたので、デジタル広告に」的な案件の相談が増えています。今まではTV・新聞で緩くやれた部分も「広告効果」をしっかりと意識し、数字で立証するプランニング業務負荷が高まりやすくなります。ちなみに、僕らのすぐ近くに座っている営業さんは、まるでネット広告屋さんのような会話を毎日お得意と電話で繰り広げています(泣きそうな顔になってるけど(笑)。でも、とっても、いい勉強させてもらっていますよね)

 上記に付随しますが、最近、札幌界隈のクライアントでもネット広告に関する知識をお持ちの方が増えてきたので、この領域に関しては、良い意味で要求水準が高まっていることも影響しているかもしれません。


2.元々、札幌界隈でのプランニング系人材が少ないため

これを言っては元も子もないのですが、こちらも大きいかなと。
東京と札幌の広告業界双方を体験して実感しているのは、「プランニング系業務をしっかりと出来る人が少ない」ということです。

 「何かの広告枠を売る」といった「定型的な業務」を出来る方は多いのですが、統合型の提案や過去の経験値や方法論のない業務が発生した場合、あっという間にスタックします。
結局、「出来る人材」にばかり業務が集中→結果的に処理待ちになる案件が発生→プランニング担当無理をする→心身ともにつぶれる といった負のスパイラルに・・・。

 こういった残念なことになる背景のひとつとしてあげておきたいのは、「札幌広告業界におけるアカウンタビリティ※意識の低さ」。
※お得意に対し、広告効果を数字で計測し説明すること。

「ネットでバズる広告をやりましょう!」
「インパクトのあるCM表現でリブランディングです!」

 自分でタイピングしても指先ちゃんが照れているのがわかりますが、こんな化石のようなことを頻繁に耳にするのもこの地に来てから驚いたこと。
このようなことをおっしゃるプランナーに限って、お得意先のHPアクセス数をウォッチしません。まして、コミュニケーション前後のブランドステータスをPDCA調査で把握するなんてこともしません。

 こういったノリで日々案件対応していると、追い求める仕事の精度が下がります。必然的にプランニングが緩くなり、結果としてプランナーが育たなくなっていきます。


3.人材定着に関する施策が不十分な会社が多いため

これは「プランニング系人材」に限らずの話で、全般的に言えることだと思っています。「人が雇えない、求人広告の反応がない」とよく耳にしますが、そのような会社ほど「人材定着、離職防止」に関する施策が不十分な気がします。

 以前、日本最大手の業務委託会社さんが札幌市内で運営するコールセンターを見学させて頂いたことがあります。札幌は日本国内でもコールセンターが多いことで有名ですが、同社もライバル同様、テレフォンオペレーター人材の採用で大変苦労されていたようです。様々な仮説を検討した上で、同社が行き着いた結論は「人材定着、離職防止」でした。ES調査(従業員満足度調査)や面談を定期的に行い、社員の声をしっかりと傾聴しました。例えば、「女性社員のブーツ置き場を作ってあげる」など、かなり細かく地味な施策もされたそうです。そのような努力の結果、離職率は大幅に低下し、年間数百万円も採用コストが削減できたとか。

 テレフォンオペレーターさんとプランニング系人材の志向する要素は確かに異なる点もありますが、究極的には「人の心」を扱うわけですから共通項は多いはずです。東京は生存競争が激しいので、自然なかたちで日常業務にこのような改善サイクルが組み込まれてるのですが、札幌はまだまだヌルい感が拭えません。

 いままではそのようなやり方でも生きて行けたかもしれませんが、今後、他府県に比べ、道内の労働生産人口が減少するスピードが増す環境等も考慮すると、いよいよ札幌の広告業界はどうにかなってしまうのでは・・・と心配になる今日この頃です。


 以上、長々書きましたが、「これをやればすぐ良くなる!」といった特効薬的なものは無いと思っています。ただ、課題点や悩みは同業他社も同じ部分が多いことも考慮すると、会社の垣根を超えてプランニング系人材を育てるためのアクションを起こすことも面白いかもしれません。まずは、ちょっとした「同業者飲み会」なんかも企画してみようかな(笑)

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