目次
・セミナー概略
・意外な理由で生まれた〜「airbnb」誕生秘話
・日本でも大人気!ヒットの秘訣は?
・現在の実績データなど
・ホストのライフスタイルも変えるサービスに
・今後の課題
セミナー概略
当セミナーは人材派遣やアウトソーシング事業を展開されているキャリアバンク株式会社(SATOグループ)のオープンセミナーとして実施されました。会場は満員! 「地方創生」「日本版DMO」「民泊」「空き家対策」といった文脈で注目されていることもあり、人気度の高さがうかがえますね。
講師: Airbnb Japan 株式会社 代表取締役 田邉泰之氏
開催日時 : 2015年11月17日(火)18:00~20:00
開催場所 : キャリアバンク株式会社 セミナールーム
札幌市中央区北5条西5丁目7番地 sapporo55 5階
参加料 : 無料
意外な理由で生まれた〜「airbnb」誕生秘話
今となっては世界的な宿泊プラットフォームとなった「airbnb」ですが、立ち上がりは相当ご苦労されたそうです。創業メンバーは「Joe Gebbia」さん、「Nathan Blecharczy」さん、「Brian Chesky」さん。
当初、2名で借りていた部屋の家賃が高騰し、払いきれなくなったそうです。
「3名なら払えるんじゃね?」
と思いインターネットで募集をかけたところ直ぐに宿泊希望があったとのこと。
ただ、当初は「エアーマット」と「B&B(※)」スタイルでサービス提供したそうですが、それでもゲストは大喜びだったそうです。ちなみに、この「エアーマット」+「B&B(※)」を組み合わせて「airbnb」という社名にしたのですね。ずっと不思議に思っていた社名の由来、ようやく理解しました(笑)
※ベッド・アンド・ブレックファースト(BED AND BREAKFAST)の略語で、朝食付きのお部屋を提供する宿泊施設のこと。
日本でも大人気!ヒットの秘訣は?
1.アートに裏打ちされた「わかりやすさ」
「あー、なるほどな」と思ったのは、同社のユーザーインタフェース(UI)のわかりやすさ。もともと創業メンバーのお二人がアート専攻ということもあり、デザイン性や使いやすさはかなり拘って作っているそうです。
2.「暮らすように旅をしよう」というサービスコンセプト
サンフランシスコで起業した際、「マットレス」でのサービス提供でもゲストが喜んでくれたのは、「地元の人しか行かないような場所を中心に観光案内したこと」がウケたから。また、田邊代表が2回目に「airbnb」を使ってサンフランシスコの民家に宿泊した際、「芝刈り機を使った後に香る芝の匂いが部屋に伝わったとき、地元の方はこんな生活をしているんだなぁ」と思ったお話も印象的でした。
ようは、同社の「暮らすように旅をしよう」というサービスコンセプトにしっかり共感出来る層がいたということですね。高級ホテルに大枚はたける富裕層でも「世界各国の地元の暮らしを楽しみたい」というニーズはやはりありますね。
3.「ゲスト」と「ホスト」の「自然淘汰」がされる仕組み
同社サービスは、部屋を利用する「ゲスト」と、部屋を提供する「ホスト」によって成り立っています。興味深いのは、両者がそれぞれを「レイティング」する関係にある点。例えば、部屋を汚く利用しつづける「小田ゲストさん」がいた場合、そんな素行を繰り返すとやがてレイティングポイントが落ちて他のホストさんから宿泊を断られることも。ある意味、お互いを評価し、ダメな人は「自然淘汰」されていく仕組みになっています。4.日本人の「おもてなし力」が活きる?
現在、日本には「スーパーホスト」と言われる高品質なサービスを提供する「ホスト」さんが2000人もいるそうで、世界でも多いとのこと。宿泊施設のスペックや食事といった高級ホテルがアピールする「ハードセル」ではなくて、「日本のおもてなし力=ソフトセル」で勝負しやすい点もマッチした結果ですね。現在の実績データなど
現時点における世界中の「airbnb」実績データも紹介されていました。
・物件数:150万件以上
・サービス展開都市:3万4千都市以上
・サービス展開国:190ヶ国
・全世界累計宿泊人数:6000万人以上
これらが、マーケティング費用なしで口コミだけで拡大したのですから驚きです。
日本でも急激に利用者を伸ばしており、下記のような状況になっています。
・昨年比伸び率:529%
・利用可能な物件数;21,000件
・285%外国へのゲスト(海外で使用した日本人)
ホストのライフスタイルも変えるサービスに
例えば、年金生活者の高齢世帯でも同サービスを使って「ホスト」になれば副収入が得られるため、経済的な安心感を手に入れることが出来ます。
また、同サービスを利用する世界の「ゲスト」は、比較的年収や学歴が高く、違う都市の生活や文化を学びたい意欲が強いのだとか。そのような「ゲスト」と田舎の古民家で「ホスト」となる高齢者が触れ合うという、今までになかった異国体験は、お互いのライフスタイルを変える可能性もありますね。
なお、岡山県では、このサービスで「ホスト」となった方が「おもてなし隊」を結成。インバウンド観光客が急増した事例もあるのだとか。
今後の課題
この夏、「緊急を要する問い合わせ率」は0.02%しかなかったとのこと。
しかし、一般のホテルと比べれば一定のリスクは織り込んだ上で利用するサービスとも言えます。
同社では万全のサポート体制をしきつつ、今年秋から「ホスト保証保険」制度もスタートする予定です。こちらは、最大1億円までゲストの怪我などを保証するサービスですが、すでにホスト保証も同額で実施しています。
当セミナーの終わりにキャリアバンクの佐藤社長もおっしゃってましたが、
「最終的に当サービスは、C to Cのビジネスモデル。ゲスト・ホスト双方の自己責任で成り立つサービス」と述べられていた点が印象的でした。
確かにUberも含めて、日本では規制もありなかなか根付きにくい「C to Cモデル」。
携帯電話含めて「ガラパゴス化」といった表現をされることも多い日本ですが、「自己責任」を前提としつつも、「安心感」という日本が世界に誇るファクトも持ち合わせた、「日本らしいairbnb」という発展形も期待したいところです。
<観光関連のエントリー>
<DMO参考ページ>
地方創生の新たなキーワード「日本版DMO」って知ってる?
http://sapporomkt.blogspot.jp/2015/06/dmo.html
世界のDMO~「アルベルゴ・ディフーゾ」って知ってる?
http://sapporomkt.blogspot.jp/2015/09/dmo_12.html
イタリア発のDMO~「チッタスロー」運動ってご存知?
http://sapporomkt.blogspot.jp/2015/09/dmo_13.html
日本版DMO~「美しい村連合」について調べてみた。
http://sapporomkt.blogspot.jp/2015/09/dmo.html
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